なぜ「営業」こそが、経営のコアプロセスなのか? ——ピッタリのパートナーに出会うための「問い」と「覚悟」

経営コンサルタントの長野研一です。

「営業」という言葉に、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか? 「頭を下げて仕事をもらってくること」「ノルマに追われること」……。もしそんな風に捉えていたら、それは経営の本当の面白さを半分以上、見落としているかもしれません。

私は経営コンサルタントとして多くの現場を見てきましたが、確信していることがあります。それは、「営業こそが経営の最上流であり、コアプロセスである」ということです。

今日は、私がなぜそう考えるようになったのか、農業や建設業の例、そして私自身の恥ずかしい(?)本音を交えてお話ししたいと思います。


1. 「補助金」と「出口のない米粉」が教えてくれること

以前、ある農家の方からこんな話を聞きました。 「作る野菜の種類は、補助金の多寡で決まることが多いんだよ」と。

これは非常に示唆に富む話です。もし「何を育てるか」を補助金の額で決めているとしたら、その視線の先に「お客様」は存在しません。

自らの手で、主体的に最終消費者の手に届ける。その「覚悟」があって初めて、「お客様はどんな野菜を食べたいだろうか?」という本質的な問いが生まれます。

かつて「6次産業化」が流行った際も、消費者不在の取り組みをしばしば目にしました。

「米が余ったので米粉を作りました。小麦ができたので小麦粉を作りました。さあ、買ってくれる人を探しましょうか」

これでは、ビジネスの入り口にも立てていません。 「何ができたか」ではなく「誰が、なぜそれを欲しがるのか」。この営業的視点こそが、ものづくりの根幹を規定すべきなのです。

2. 建設業における「戦略的」な営業の順序

中小建設業の経営においても、同じことが言えます。 「あのA級会社のキーマンである常務を知っているんだ」というのは、確かに強力なアドバンテージです。しかし、人脈だけで仕事を取り続けるのには限界があります。

人脈に頼る前に、検討すべき「順序」があります。

  1. 自社の得意なこと(強み)は何か?

  2. その強みを「特効薬」として必要としている元請けさんは、どんなお困りごとを抱えているか?

  3. そんなお困りごとを持つ会社は、自社のエリア内ではどこだろうか?

  4. その中で、最も話を持って行きやすい(パートナーになれそうな)のはどこか?

この「検討のプロセス」そのものが営業であり、経営戦略そのものです。営業とは御用聞きではなく、「自社という解決策を、最適な場所へ配置するパズル」なのです。

3. 営業提案は「愛の告白(ラブコール)」である

私は、営業を「お互いにピッタリくるパートナー探しの旅」だと考えています。

そう考えると、営業提案とは一種の「ラブコール」です。 「私たちはあなたのこんな課題を解決できるし、一緒に組めばこんな未来が描けます。どうですか?」と、心を込めて手紙を書くようなもの。

相手の状況を深く想像し、自分に何ができるかを真剣に考える。このプロセスにおいて、私が今でも大切にしているエピソードがあります。

「もし明日、社長が4か月不在になったら?」

ある事業承継の問題を抱えた社長様との対話でした。承継の大切さは理解しつつも、どこか他人事で、具体的なアクションには至っていなかった方です。私はこう問いかけました。

「もしもですが、社長が万一病気になられて、入院1か月、自宅療養3か月となったら、会社はどうなりますか?」

その瞬間、社長は考え込みました。 「日常業務は、私が当社の飛車角と頼む専務と常務がうまくやってくれる。だけど、それを超える場面を迎えたら…」 そこから、後継者育成に向けた動きがリアルな課題として動き出し、私の提案「自分たちの未来にいますぐ必要なもの」として受け入れてくださったのです。

これは恐怖を煽るテクニックではありません。社長の人生と社員の生活を想う、私なりの「本気のラブコール」でした。

4. 自分を救えない者が、人を救うことはできない

私の座右銘は、「自分を救えない者が人を救うことはできない」です。

コンサルタントとして偉そうなことを言っていても、自分自身が「営業」という荒波に揉まれ、自社を存続させる努力を怠っていては、お客様の痛みなど分かるはずもありません。

私自身、今でも営業で試行錯誤を続けています。うまくいかないこともありますが、それを含めて「面白い」と感じています。なぜなら、自分自身が営業について考え、実践し、汗をかくことで、初めてお客様の営業面での悩みにも「リアルな血の通ったご支援」ができるようになると信じているからです。


営業は、単なる「販売」ではありません。 それは、社会の中で自社の存在価値を証明し、最高のパートナーと手を取り合うための、最もクリエイティブで、最も人間臭いプロセスです。

あなたの会社にとっての「ピッタリなパートナー」は、今どこで、何に困っているでしょうか? 一緒に、その旅に出てみませんか。

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