「戦略的に生きる人は、時間の使い方が違う」――中小建設業の経営者に必要な思考の土台

はじめに:「戦略的である」とはどういうことか?

「戦略的である」と聞くと、皆さんはどんな人を思い浮かべるでしょうか?

・先を読むのがうまい人
・計画的で無駄がない人
・大胆に決断できる人

どれも間違いではありませんが、実はそれ以前にもっと重要な共通点があります。それは――**「自由に使える時間を持っていること」**です。

今回は、中小建設業の経営者である皆さんが、どうすれば戦略的に考え、動けるようになるか。その出発点として「時間」に着目しながら、一緒に掘り下げてみたいと思います。


時間がなければ、戦略的にはなれない

戦略とは、将来を見据えた選択をすることです。
けれど、目の前の業務やトラブル処理に忙殺されていては、「先を考える時間」すら取れません。

経営者であるあなたが、つい「今日の段取り」で一日を終えてしまっているなら、それは「戦略的」ではなく「反応的」な状態です。

本来、経営者の役割は「未来をつくる」こと。
そしてそのためには、未来について考えるための時間的余白がどうしても必要です。


時間は「ある」ものではなく、「つくる」もの

「戦略的に動ける人」は、時間の使い方が違います。
彼らが持っているのは、誰かに与えられた“ヒマ”ではありません。
自ら意図を持って時間を確保し、使う時間を作っているのです。

この「意図を持って時間を確保する」という行為は、ただの時間管理術ではありません。
これは、自分の人生や仕事において「何を大事にするか」を決め、そのための行動を先に予定に入れるという主体的な生き方そのものです。

この実践を続けていくと、時間に追われる側から、時間を支配する側に変わっていきます。
その結果、心にも余裕が生まれ、判断にも冷静さが加わっていきます。


時間をつくるには、仕事の仕方を変える

では、どうやって時間をつくるのか?
その答えはシンプルです――「仕事の仕方を変える」ことです。

たとえば、以下のような問いを自分に投げかけてみましょう。

  • それ、本当に自分がやる必要があるか?

  • 今のやり方は最適か?もっとシンプルにできないか?

  • 人に任せることで、自分の時間をつくれないか?

経営者自身が手放せば、社内の人も「任されている」と感じて育ちます。
時間を確保することは、自分のためであると同時に、組織の成長にもつながるのです。


仕事の仕方を変えるには、「仕事の定義」から見直す

仕事のやり方を見直すとき、多くの人は「ツールを変える」「手順を整理する」といったテクニック面に目がいきがちです。

しかし、本当に変えるべきは、「仕事とは何か?」という自分自身の捉え方です。

「一生懸命やっていること=価値があること」と思い込んでいませんか?
「自分が動いている=経営している」と錯覚していませんか?

経営者の仕事とは、本来「手を動かすこと」ではなく、「方向を示し、資源を配分すること」です。
その視点に立つことで、仕事の優先順位や配分が大きく変わってきます。


「何のための仕事か」に立ち返る

仕事の定義を変えるには、「なぜこの仕事をしているのか?」という問いに立ち返ることが必要です。

  • 会社をどうしていきたいのか

  • 社員や家族にどんな未来を用意したいのか

  • 自分はどんな生き方をしたいのか

このような問いを自分にぶつけることは、一見まどろっこしく見えるかもしれませんが、実は最も実践的な戦略的行動なのです。

なぜなら、この「目的の明確化」こそが、行動の選択基準となり、判断を加速させてくれるからです。


「戦略性」は素晴らしいアイデアではなく、実践から生まれる

多くの方は、「いいアイデアが浮かんだら戦略的に動ける」と思いがちです。
でも実際は、愚直な実践の先にしか戦略性は育ちません。

  • まずは、週に30分でも、未来のことを考える時間を確保する

  • それをカレンダーに予定として書き込む

  • 実際に、毎週その時間を死守して考えてみる

こうした「地味な習慣」が、やがてあなたの時間の使い方を変え、行動を変え、結果として会社の未来を変える力になります。


身を置く環境が意識をつくる

そして、ここでもうひとつ大切な視点があります。
それは、環境を変えることの効果です。

いくら意識を変えようとしても、周囲が「目の前の忙しさに埋もれている人たち」ばかりでは、なかなか継続できません。

逆に、すでに戦略的に時間をつくり、実践している人たちと接する時間が増えると、
自然と「自分もやってみよう」という気持ちが芽生えます。

たとえば、定期的に異業種の経営者が集まる勉強会に参加してみる。
戦略的に動いている経営者の著書や実践例に触れてみる。
「未来をつくる」ことに本気な人たちの会話に混ざってみる。

それだけで、あなたの意識は「反応的」から「戦略的」へと向かいやすくなるのです。


おわりに:「意志ある選択」を今日からはじめよう

戦略とは、「意志ある選択」です。
その意志を発揮するには、まず時間を確保するという小さな選択が必要です。

  • 自分が主導して、未来の時間を先に予定に入れる

  • 小さな実践を重ねる

  • 身を置く環境を選ぶ

この3つのステップを始めたとき、あなたの中に「戦略的な時間」が育ち始めます。
やがて、それは会社を変える力になります。

「いつか時間ができたら」と思っているかぎり、その日が来ることはありません。
今日、この瞬間から「時間をつくる人」になること。
それが、戦略的な経営者への第一歩です。


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